クラミジアは他の性病と違って母子感染はしない

クラミジアは胎内の母子感染はしないが他のリスクがある

直接の影響は?

妊娠中にクラミジアに感染していることが発覚して、真っ先に心配になるのは母子感染です。クラミジアは性感染症なので膣や子宮だけでなく、胎児にも悪影響があることが懸念されるのはもっともでしょう。性感染症は、日本産婦人科の医学会によって胎内感染、分娩時感染、経母乳感染の3種類に分類されています。

胎内感染は細菌やウイルスが胎盤を通して胎児へ感染することです。胎内感染の可能性のある性病は、HIVや梅毒、肝炎やヘルペスで、クラミジアはこの分類に入っていません。クラミジアが関係するのは分娩時感染で、これは出産時に産道を胎児が通るときに感染するものです。クラミジアで懸念されるのは、このタイプの感染です。

母乳によって感染するのは肝炎やサイトメガウイルスで、ここにはクラミジアは分類されていません。クラミジアの胎児への直接の影響はないと考えていいでしょう。心配すべきなのは産道感染です。

前期破水が心配

妊婦がクラミジアに感染していると、子宮から羊膜へと細菌が徐々に侵入していきます。このとき心配なのは、羊膜が細菌で侵されることで前期破水を引き起こすリスクがあることです。前期破水は陣痛よりも前に破水してしまうことで、これによって胎児が流産してしまうリスクがあります。

前期破水は、妊娠初期ほど起こしやすく、危険は高いと言えるでしょう。そのため、多くの産科クリニックでは妊娠が分かってからクラミジアなどの性病の検査を推奨しています。クラミジアだけでなく、直接胎児に悪影響のある梅毒などの病気も併せてチェックします。直接的な影響はないものの、クラミジアに感染したまま出産すると、新生児結膜炎や肺炎などの病気にかかるリスクがあります。

治療の方法

クラミジアなどの性感染症は、抗生物質によって約9割が完治します。クラミジアは女性では特に症状が出にくいので、妊婦検査によって初めて発覚することも珍しくありません。しっかり治療すれば、妊娠も出産も問題なくできますので、妊娠したら産科医の指導に従って性感染症の検査を受けましょう。

妊婦に対する治療は主に、ジスロマックという抗生物質が処方されます。個人差はありますが、1日1回の服用を1週間ほど続ければクラミジアの細菌は死滅します。

また、妊婦がクラミジアに感染している場合、かなり高い確率でパートナーも感染しています。パートナーにも検査を受けてもらい、同様に治療していきましょう。パートナーが感染したままだと、ピンポン感染でまた自分に返ってきます。

母子感染する性病は?

母子感染する性病として代表的なのは、梅毒とHIVです。他にも淋病や陰部ヘルペス、カンジダなどがあります。母子感染には、妊娠中の胎内感染と出産するときの産道感染、出産後の経母乳感染がありますが、何らかの細菌や微生物が母親の胎盤から胎児に感染することを一般的に母子感染と呼ぶ傾向があります。

こういった胎内感染する性病として最も危険なのは梅毒で、妊娠18週目以降に胎盤から感染して発症します。胎児梅毒が発症すると、胎児水腫を引き起こして死産や流産、生後の早期死亡といった事態を招きます。

遅延梅毒というものもあり、新生児から学童、思春期に差し掛かる頃に骨や皮膚などに病変を起こします。こうした意味での母子感染はクラミジアにはありません。胎盤からクラミジア菌が胎児に感染するという事例は非常に稀とされています。

クラミジアに感染すると

クラミジアの感染ルートは主に性行為感染です。性器から性器への感染が最も多いと言われており、このほかオーラルセックスによっても感染します。女性の場合に気をつけたいのは、自覚症状が乏しい病気であるということです。

性行為によって性器感染しても、女性の場合は症状が薄く、もしあっても非常に軽い傾向があります。性器から感染したクラミジア菌は、子宮頸管の細胞を宿主として自己増殖していきます。子宮頸管から子宮内膜、卵管へと徐々に進行していくのがクラミジア菌の特徴です。

まったく気が付かないまま妊娠することも多く、そのときには胎盤からの感染はありませんが、出産時に産道を通る胎児に感染することが知られています。

新生児が感染すると

母親がクラミジアに感染した状態のまま出産すると、新生児に産道感染するリスクがあります。たとえば子宮頸管、膣、外陰部などの軟産道と呼ばれる部分を通過するときに感染します。出産した新生児のおよそ50%程度が結膜炎にかかり、20%近くが肺炎となるという調査結果があります。

また、1歳程度になったときに、産道感染した幼児の半数近くが急性気管支炎などにかかるという報告もあります。こういった感染を防ぐには、妊娠したら産科医の指導に従ってクラミジア検査を受けましょう。

近年はクラミジアを含む性病の検査をする産科医が増えています。治療は妊娠中でも可能で、エリスロマイシンやクラリスロマイシンといった作用の穏やかな抗生物質で治療します。治療によって、産道感染のリスクはおよそ2%程度にまで激減します。